MEDICAL
それぞれの道で活躍する卒業生
国家試験までの学生生活を今振り返る
京都医健専門学校を卒業して、理学療法士として活躍するお二方と、京都医健理学療法科の先生にお集まりいただいています。卒業生のお二人は今現在どのような仕事をされていますか?
石田
2019年に京都医健を卒業して、今は琵琶湖中央病院で働いています。琵琶湖中央病院は回復期リハビリテーションを行っている滋賀県の病院の中でも患者様が多い病院で、スタッフも理学療法士・作業療法士・言語聴覚士合わせて100名以上在席しています。その中で、理学療法士6~7人でチームを組んで日々協力しながら働いています。
加地
京都中部総合医療センターのリハビリテーション科で回復期リハビリテーションを担当しています。リハビリに来られるのは整形外科の患者様が多く、骨折や骨の変形などで手術をした方の回復の支援を行います。
また、私は元々スポーツが好きなので、病院内のスポーツリハビリチームにも所属しています。院外活動として、地元の少年野球チームで、ケガ予防のためのストレッチや、投球動作の指導などを行っています。
地域、分野、幅広い選択肢から描く
それぞれの理学療法士への道
どのような理由で今のお勤め先への就職を決めましたか?
加地
私の場合は、京都医健の作業療法科に幼馴染がいて、今の職場を一緒に受けようと誘われたのがきっかけでしたが急性期・回復期・地域包括・訪問リハビリなど、入院から地域支援まで幅広く関われることや、スポーツリハビリのチームにも希望すれば入れるというところが魅力に感じここで働きたいと強く思いました。幼馴染とは現在も同じ職場で切磋琢磨しながら働いています。
磯部先生
京都医健には学生が就職したい地域に詳しい先生やスポーツの領域に強い先生がいるので学生の希望に合わせて紹介しています。
私たちのフォローがなくても、自分で調べたり実習先だったりで興味のある勤務先がすでに絞られている学生も多いです。
加地さんも候補を3件くらいに絞って相談してくれていたよね。
加地
はい、スポーツ分野以外にも様々な領域に関われるかどうかで、就職先を絞り込んでいましたね。
石田
私は、パンフレットや琵琶湖中央病院で実習した友達に話を聞いて、チームで患者様を担当できることに興味を持って今の職場を選びました。一人で一人の患者様を担当するのではなくて、チームで一人の患者様を担当することで、先輩やチームメンバーからのフィードバックがもらえて、患者様により良いリハビリを提供することができると思ったからです。
実習期間中に今の勤務先に連絡して、見学を希望していたのですが、実習期間が終わった頃には定員がいっぱいで募集が締め切られてしまっていました。でも、見学に行くことは承諾いただけたので、諦めずに訪問し続けた結果、内定を頂くことができました。
牧先生
病院の担当者は、実際に石田さんと会って話してみて、魅力と熱意が伝わったのだと思います。
石田さんはエリアを重視して就職先を選んでいましたが、学生たちには何を重視したいのか、優先順位をまず決めるようにアドバイスしています。
就職するまでには様々なエピソードがあったのですね。では、理学療法士になるにあたり、大切に思うことや心に残っている学びや言葉はありますか?
石田
私は笑顔などの表情を伝わりやすくすることが大切だと思っています。
マスクは感染予防として着用が必要な時もあるのですが、言葉が聞き取りにくい、表情が伝わりにくいなどの弊害もあります。
できるだけ言葉や表情が伝わるように、時にはマスクを外して患者様に接することもあります。気持ちの良いコミュニケーションがとれる理学療法士になりたいと思っています。
牧先生
患者様としっかりコミュニケーションを取ることはとても大切なことですね。それに加えて学校では「患者様を信じること」、「患者様にケガをさせないこと」を大切にするように学生には日々伝えています。
石田
リスク管理については、実際に理学療法士として仕事をし始めて、自分が担当する患者様ができてから、大切さを改めて実感しています。
磯部先生
加地さんは、仕事をする上で、何を大切にしていますか?
加地
私は患者様との信頼関係を大切にしています。地域の病院なので、退院後も患者様が会いに来て下さることもよくあるのですが、それは理学療法士によって差があります。患者様は、理学療法士が真剣に向き合ってくれているかどうかを敏感に感じておられるので、自分は患者様との信頼関係を築いて、退院後も会いに来たくなるような理学療法士でありたいと思っています。
どんな思いを持って仕事をしているのかは患者様に伝わるもの。
だからこそ人間性を磨いて信頼を得ることが大事
磯部先生
加地さんが言うように、患者様は施術者が親身に接してくれているのかを日々感じ取っておられます。
理学療法士になれば、知識や技術は持っていて当たり前なので、患者様と最後まで真剣に向き合える人間性を磨くようにアドバイスしています。
先生方の教えから、今の理学療法士としてのスタンスにつながっているのですね。
在学中は勉強や実習で様々な壁にぶつかることもあったと思いますが、どのように乗り越えていかれましたか。
弱点分析にグループワーク。
職員も同級生もみんなで力を合わせて挑む
国家試験対策の仕組み
加地
実習の時は、とても苦労しました。長期実習では、自分が未熟だったことで厳しい指導を受けました。その指導された内容を気にしてしまって落ち込んでいたのですが、毎日のように医健の先生に電話して、話を聞いてもらえたことが心の支えになりました。遠方での実習で簡単に友人や家族に会えない環境だったので、特に先生の存在は大きかったですね。
国家試験の勉強では、範囲が広いことが課題でした。自分の興味がある分野ばかりに偏って勉強してしまい、結果的に模試の点数が取れないことが多々あったのですが、先生から苦手分野を克服できるよう勉強方法のコツを教えてもらいました。そのアドバイスに従って勉強を行ったことで、学力が上がり、国家試験の合格につながりました。
磯部先生
模試や国家試験では一部の分野だけでなく、幅広い分野で点数を取っていくことが必要です。自分の弱い科目を分析することが苦手な学生も多いので、模試の結果を元に教員が分析してアドバイスします。それを信じて勉強してくれると、学力も模試の点数も伸びやすいですね。素直さや継続することは大事。あとは、教員にアドバイスを求めに頼って来てくれたことが加地さんの良かった部分だと思います。
牧先生
教員は個別の弱点分析の他に、スケジュール管理についてもサポートしています。いつまでにどれくらいできるようになっていないといけないか、逆算することも学生にとっては難しいところなので、注意して管理するようにしています。
石田
私は一年生から定期テストで全然点数が取れませんでした。基礎ができていないので、模試を受けるようになっても成績は上がらず、悩んでいました。でも、グループワークで同級生から教えてもらったり、調べながら勉強したことをアウトプットする機会を作ってもらって、自分が本当に理解できているのかを確認できるようになり、成績を伸ばすことができました。
一人で国家試験の勉強をしていたら、合格していなかっただろうと思います。グループワークでクラスのみんなや先生と一緒に学習できたことが、国家試験合格の決め手です。
磯部先生
京都医健では、グループワークにも注力していて、学生同士で理解を深められるように工夫しています。その他に、定期的に「帰れま点(テン)」という、過去問を100%正答するまで問題を解き続ける国試対策も行っています。
牧先生
グループワークについては、メンバー構成や一度グループを作ってからの調整には気を使っています。
仲が良い学生同士で集まるのではなく、学力や時期に合わせて一番成績が伸びやすい組み合わせを、学生の意見も取り入れながら考えて組んでいます。
たくさんのサポートを受けながら迎えた国家試験当日。どのような想いで挑みましたか?
石田
「明日で全部決まる」と考えてしまい、プレッシャーを感じていました。けれど、試験当日に医健の同級生たちが、お手洗いに立って緊張している様子を見て、みんな同じなんだと思うと安心しました。午前中の試験が終わった後に、自己採点の点数が良くなかったので、思わず泣いてしまったのですが、午後の試験で挽回できていることが分かって安心しました。
磯部先生
石田さんのように午前中の点数が思わしくなかったとしても、気持ちを切り替えて、「大丈夫だ」と信じて受けるようにアドバイスしました。当日は自分を信じて全力を出し切るしかないですから。
牧先生
国家試験会場には私たち教員もついて行きます。「4年間、やれることはやってきたので、あとは運を味方につけて、信じて行ってこい!」と、気持ちをリラックスできるように声を掛けて、送り出すようにしています。
加地
試験前日にみんなで会場を見に行った時、他校の受験予定者もたくさん来ていました。理学療法士を目指す人が多いことを実感して、その時に緊張したのを今でも覚えています。
前日に緊張したこともあり、当日はそんなに緊張してなかったのですが、試験結果の自己採点が良くなかったので合格できないかもしれないと思っていました。
そして、いよいよ試験の結果発表。合格が分かった瞬間は今も忘れられないことと思います。
加地
Webサイトで合否を確認するのですが、自分の番号を見つけた時はすごく嬉しかったです。同級生と一緒に見て、喜び合いました。親や磯部先生に報告の電話を入れたのですが、磯部先生の反応は「知ってる、知ってる。」だったので、少し拍子抜けしました。
磯部先生
自己採点結果で、だいたいの合否がわかるので、加地さんの合格は先に分かっていました。合格を報告してくれた時に、もう少し一緒に喜ぶべきでしたね(笑)
石田
私は合格が分かってすぐに一緒に勉強していたグループの子たちに連絡して、そのあとに親や先生にも連絡しました。合格が分かった時もすごく泣きました。
牧先生
石田さんは頑張り屋なところがあって、最初成績が良くないところからのスタートだったので、その分を取り返そうと毎日朝から晩まで学校に残って勉強しているのを見ていました。合格が分かった時は、私も嬉しかったです。
先生や学生同士の距離が近い京都医健だからこそ
つらい時も頑張る原動力になる
京都医健で理学療法士を目指して良かったなと思うことはありますか。
加地
医健には様々な学科があって、学科の違う友人もいました。私たちは4年制で2年制や3年制の他学科と比べて卒業が後になるのですが、みんなが先に卒業して自分の夢を叶えていく姿を見て、すごく羨ましく思う一方、自分も国家試験に受かって同じフィールドに立ちたいという思いを強く持てました。
他学科との関わりが少ない他の専門学校や大学の話を聞いたこともあるので、色々な学科の、同級生の話を聞いて、自分も頑張ろうと思うことができる医健で学べて良かったなと思います。
石田
医健では、国家試験の勉強でわからないことも気軽に聞きに行けますし、実習の時も電話をかけることができる程、先生との距離が近いことが魅力だと思います。先生から電話をかけて下さる時もあって、先生のアドバイスやフォローで常に高いモチベーションでいられたと思います。
これから理学療法士を目指すみなさんに一言お願いします。
石田
私は1年生であまり成績が良くなかったので、始めの間にもっと土台を作っておけば良かったなと思っています。後輩のみなさんには、早くから先生や先輩にわからないところをたくさん聞きに行ってほしいと思います。
また、始めは成績が良くなかった私も、先生方やクラスメイトと協力し合って、試験対策の勉強を進めることで、最終的に国家試験に合格できたので、みなさんも自信をもって最後まで頑張ってほしいと思います。
加地
外来で来られるスポーツをしている高校生の患者様から、リハビリをするような仕事に就きたいという夢や目標をよく聞きます。その時に、勉強が苦手なので自分には無理だという悩みを相談されることが多いのですが、勉強が苦手でも、みんなと一緒に頑張れば夢は叶うので、諦めずに頑張ってもらいたいです。
大切なのは理学療法士になりたいという強い気持ち。
学力は努力でカバーできる
牧先生
理学療法士の仕事は、いろんな患者様や分野に関われる魅力的な仕事だと思います。
中には難しそうだなという印象を持っている方もいるかもしれませんが、人の役に立ちたいという強い気持ちがあれば、理学療法士になれると思いますし、そのためのフォローも精一杯させていただきます。少しでも興味があれば、まずは一度話を聞きに京都医健に来てほしいと思っています。
磯部先生
私も理学療法士として仕事をして、既に二十数年になりますが、海外での活動や、病院や介護施設、訪問など幅広い分野で仕事をしてきて、すごく可能性のある仕事だなと思います。最近は病院勤務だけでなく、加地さんのやっているケガの予防のように、自分の好きな分野に理学療法士の技術を掛け合わせてできることが、どんどん広がっていると感じています。
また、教員として学生と関われることも楽しいですね。京都医健には、高校時代部活が大好きで勉強は苦手だったという学生も入学してくれていますが、4年間懸命に勉強を頑張って理学療法士になった卒業生が、自分の道を見つけて活躍している話を聞くとすごく嬉しいです。
自分で限界を決めずに、まずは来てみて、それからやりたい分野も見つけることができると思います。
「人と関わるのが好き」とか「人の役に立ちたい」という思いがあれば、ぜひ理学療法士を目指してほしいと思います。