運動が得意な人もそうでない人も、誰でも気軽に始められるエクササイズとして人気がある「ピラティス」。
そんなピラティスのエクササイズを正しく把握し、人に指導できる職業を「ピラティスインストラクター」と言います。
本記事ではそんなピラティスインストラクターの仕事内容や、ピラティスインストラクターを目指すにあたって取得しておきたい、おすすめの資格などについてご紹介していきます。
記事の概要
そもそもピラティスとは?
そもそもピラティスとは、1920年代にドイツ人従軍看護師であった 「ジョセフ・ヒューベルトゥス・ピラティス」が考案したエクササイズのことを指します。
ピラティスは身体の回復を目的として考案されたということもあり、第一次世界大戦時には負傷した兵士たちのリハビリとして取り入れられるようになりました。
現在でも、ピラティスをリハビリの一部として取り入れているという施設は多くあります。
ピラティスのエクササイズを実践することで、理想とする身体の姿勢やしなやかな動作を習得することができます。
美容・ダイエットを目的としてピラティスが用いられることもありますが、本来は身体バランスを整えるという効果があるものなのです。
ピラティスの効果
ピラティスの考案者であるジョセフ・ヒューベルトゥス・ピラティスは、身体回復や精神力向上を目的とした自然な動作をピラティスのエクササイズに含めました。
無理のない範囲での動作であるため、リハビリを行う方や高齢者の方でも安全に鍛えることができます。
体幹を中心にエクササイズを行い、インナーマッスルを鍛えていきます。
インナーマッスルを鍛えることで、身体全体の動作がしなやかでスムーズなものになるでしょう。
そのほか、ピラティスの具体的な効果としては、「姿勢・骨盤の歪み改善」「肩凝りの解消」「ダイエット効果」などが挙げられます。
ヨガとの違い
ピラティスと混同されがちなものとして「ヨガ」が挙げられます。
ピラティスの動作とヨガの動作は似ている部分があり、同じものなのではと勘違いされる方も多くいます。
しかし、2つはそれぞれ目的が異なります。
ピラティスは身体機能の改善を主な目的としているのに対し、ヨガは精神の向上を主な目的としています。
心の健康を得るものが「ヨガ」、身体の健康を得るものが「ピラティス」なのです。
もう一つの違いとしてはヨガの主な呼吸法は腹式呼吸ですが、ピラティスの呼吸法は胸式呼吸ということです。
腹式呼吸では副交感神経を活発にさせ、心身ともにリラックスした状態を作り出しますが、胸式呼吸は交感神経を活発にさせ、心・身体を活性化させるという効果があります。
ピラティスの種類
ピラティスには大きく2つの種類に分けることができます。
マットピラティス
マットピラティスはその名の通り、マットの上で自分の体重を負荷にしながらトレーニングを行うものです。
マットさえあれば自宅でも簡単に取り組むことができます。
マット上でエクササイズすることで体幹を引き締め、身体の歪みを整えていきます。
マットピラティスではとくに胸式呼吸に集中することも大切ですが、まずは正しい動作を身に付け、上手に動くことができるようになったら呼吸に意識を向けるようにしましょう。
マシンピラティス
マシンピラティスは、専用器具を使ってピラティスを行うトレーニング法です。
器具にもさまざまな種類があり、用途によって使い分けながら使用します。
その中でも代表的な器具として知られるのが「リフォーマー」です。
寝ている体勢で鍛えることができるため、初心者であっても比較的簡単に取り組むことができる器具です。
また、座る部分やペダルが付いている「チェア」もよく知られています。
体幹を安定させてペダルを稼働させることで、インナーマッスルを中心に上肢・下肢を鍛えていきます。
器具はそれぞれ負荷の調節が可能であるため、一人ひとりの身体に合わせたピラティスを行うことができます。
ピラティスインストラクターの仕事内容
ピラティスインストラクターの仕事は、教室に来られる生徒に向けて安全かつ正確に、効果的なピラティスの指導を行うことです。
指導を行う場所は、スタジオ・フィットネスジム・レンタルスタジオ・公民館・カルチャースクールなどが挙げられます。
正社員として勤めたり、個人でフリーランスとして度々訪れたり、個人で開いて活動したりと雇用形態もさまざまです。
雇用形態によっては、生徒指導のほか、教室の清掃や簡単な事務作業も仕事内容に含まれることがあります。
しかし生徒に指導を行うには、どの雇用形態であっても専門用語・呼吸法などピラティスに関する幅広い知識が必要になることはもちろん、筋肉の名称・関節の働きなど身体の部位ごとに関する深い知識が必要です。
ピラティスインストラクターはレッスン時間・指導を受ける生徒に合わせた難易度を決定し、レッスンプログラムを作成していきます。
レッスン時間は、45分~60分ほどで設定されている場合が多いです。
ピラティスは生徒と1対1で指導を行うマンツーマンレッスンや、複数人の生徒に指導するグループレッスンがあります。
グループレッスンではウォーミングアップを行った後、クラス別の難易度に合わせた動作のお手本を見せ、口頭でもその動作の指示・指導を行います。
マンツーマンレッスンでは生徒一人ひとりの目的に合わせてプログラムを作成し、指導するため生徒自身にも効果を実感してもらいやすいという特徴があります。
ピラティスインストラクターになるには
ピラティスインストラクターを目指すにあたって、資格の取得は必ず必要というわけではありません。
資格を持っていなくとも、ピラティスインストラクターになること自体は問題ではないのです。
しかし資格を持っている者と比べると、ピラティスインストラクターとして就職先を見つける際にはやはり困難になる場合が多いでしょう。
またピラティスを正しく指導するためには、ピラティスのエクササイズに関してはもちろん、身体構造の知識や動作の実践経験なども必要になってきます。
正しい知識や実践を踏まえていないと、ピラティスを行うことで身体を痛めてしまう可能性もあります。
ピラティスを安全かつ正確に指導するには、専門学校で正しい知識を学び、実践を重ねるか、専門の養成講座に通い資格取得しておくのがおすすめです。
ピラティスインストラクターになるためには、「正しいピラティス」を知識・実践の両方の面からきちんと習得しておくことが必要条件なのです。
ピラティスインストラクターにおすすめの資格
ピラティスインストラクターを目指すにあたって、おすすめの資格をいくつかご紹介します。
FTP Pilates(エフティーピーピラティス/Fit to Perform)
イギリスのロンドンで1991年に開発されたピラティス団体です。
日本では2000年に「FTS JAPAN」が設立され、各地にFTP Pilatesアカデミーが誕生しました。
マットピラティスに特化しており、取得期間が短く、受講費用は開催されるアカデミーごとに異なるのですが比較的安価な傾向にあります。
これまでに多数のピラティスインストラクターを養成した実績があり、日本最大級のピラティス団体であると言えます。
BASI PILATES(バシ ピラティス)
1989年に設立。
南カリフォルニアのニューポートビーチに本部を構え、現在も世界の30ヶ国でインストラクター養成コースが開催されている世界最大級のピラティスプログラム提供者です。
エクササイズの種類は、マットピラティス・マシンピラティスどちらでも可能で、学び方も「通学」「オンライン」「ハイブリッド」の3つから選択することができます。
Peak Pilates(ピーク・ピラティス)
本部を米国フロリダ州に置いている団体で、アメリカの数多くあるピラティス団体の中でも中心的な存在として知られています。
一般愛好者だけでなく、トップアスリートやセレブリティなど幅広い客層から支持されています。
ピラティス業界内でも高い評価を受けている教育機関です。
マットピラティス・マシンピラティスどちらの資格もあり、レベルがそれぞれ3つに分けられています。
STOTT PILATES(ストットピラティス)
本部をカナダのトロントに置いており、世界のさまざまな国で通用する認定プログラムを提供するインストラクター資格認定センターです。
解剖学・生体力学といった新たな分野の要素を盛り込むことで、日々変化を遂げています。
ピラティスインストラクターの活躍の場
ピラティスインストラクターが活躍する場についてご紹介します。
スタジオ・フィットネスジムで活躍する
スタジオやフィットネスジムなど、ピラティスのレッスンを開催している場所というのは非常に多いです。
スタジオで活躍するピラティスインストラクターは、指導者経験の有無に関わらず、講座を受講し必要な知識・レッスン法を習得することで、そのスタジオ・フィットネスジムでのピラティスインストラクターとして活躍することができます。
フリーピラティスインストラクターとして活躍する
個人でピラティスインストラクターとして活躍したいという場合、資格を取得し、指導経験を積んだ後、独立してフリーのピラティスインストラクターとして活躍するという方法があります。
ピラティスインストラクターとして業務委託を行い、さまざまなスタジオ・フィットネスジムで指導を行う方や、ご自身でスタジオ・フィットネスジムを開設する方もいます。
オンライン上・動画サイトで活躍する
近年、スタジオに足を運んで指導を行わずとも、オンライン上・動画サイトなどで配信することでピラティスの指導を行うという方法も増加しています。
ピラティスインストラクターは初期費用が抑えられるというメリットがあり、生徒側は現地まで足を運ぶ時間・手間を無くしてピラティス指導を受けられるというメリットがあります。
ピラティスの歴史
ピラティスは1920年代、ドイツ人従軍看護師の「ジョセフ・ヒューベルトゥス・ピラティス」が戦争で負傷した兵士たちのリハビリとして取り入れられるよう、激しい運動が難しくとも、筋力を強化させられるエクササイズとして考案したものです。
考案者自身が「自分の病弱な身体を改善させたい」ということで、さまざまな分野の身体動作を研究し、考案させたことが始まりでした。
1926年にはピラティスを広めるためニューヨークに渡米し、専用のスタジオを開設しました。
ピラティスのやり方を筋肉・精神をコントロールしていく学問として確立し、アスリート・ダンサー・健康面への高い関心を示す人々に向けて伝えていきます。
その結果、ピラティスは見事アメリカ全土にまで普及しました。
現在ではリハビリに限らず、フィットネスの一つとしても分類されています。
おわりに
本記事ではピラティスインストラクターの仕事内容や、ピラティスインストラクターを目指すにあたって取得しておきたい、おすすめの資格などについてご紹介しました。
「ピラティスインストラクターとして長く活躍していきたい」という場合、資格を取得することをおすすめします。
資格が無くても職業として成立はするのですが、資格を取得することで、身体構造や身体動作に関する深い知識や実技を身に付けることができるのです。