リハビリ分野

予防理学療法とは?理学療法士の活躍の場が広がっている理由

予防理学療法とは
「予防理学療法」という言葉を耳にされたことはありますか?
本記事では予防理学療法とは何か、また理学療法士の活躍の場が広がっている理由についてもご紹介していきます。

予防理学療法とは?

予防理学療法とは、病気・ケガを未然に防止するための医療方法です。
運動・生活習慣の改善・姿勢調整・ストレッチなどを通じて、健康を保ちながら病気やケガのリスクを低くします。

一人ひとりの状態に合わせてアプローチを調整し、健康を維持しながら個人の生活の質を向上させることを目的としています。

  • リハビリとの違い

予防理学療法は健康を守るためのものであり、さまざまな医療アプローチを通じて人々が健康を維持できるようサポートします。
一方、リハビリテーションは病気やケガの後の機能回復を目指すものです。
個人の状態に合わせた運動や訓練を通じて、患者さんの生活機能を改善させることに焦点を当てています。

  • 予防理学療法の3つのフェーズ

予防理学療法には、1次・2次・3次と3つのフェーズがあります。
予防理学療法を学ぶ場合は、それぞれのフェーズについて理解しておくことが大切です。

●1次予防
1次予防では、病気や障害が発生する前にそのリスクを軽減させることを目的としています。
健康な個人を対象として、生活スタイルの改善や運動習慣の確立をサポートします。
具体的には適度な運動・バランスの取れた食事・ストレス管理・禁煙などが挙げられます。
これらを継続することで、心疾患・糖尿病・肥満・がんといった慢性疾患の発症リスクを下げる効果があると言われています。
理学療法士は一人ひとりのニーズに基づいたプログラムを作成し、正しい運動や食事内容を指導することによって長期的な健康維持をサポートします。

●2次予防
2次予防では症状が現れていない人・病気になった人をできる限り早めに発見・治療し、その進行を防ぐことを目的としています。
たとえば高コレステロール・高血圧の兆候がある人は、適切な治療を受けることや生活習慣の改善が求められます。
これによって病気の進行を止め、心臓病など深刻な問題になることを回避します。

●3次予防
3次予防では、すでに病気や障害が進行している状態で悪化を防ぎ、生活の質を向上させることを目的としています。
現在、慢性疾患や障害を抱えている人が対象であり、リハビリテーションを通じて機能回復・機能維持を図ります。

これらを大きく分けるとすると1次予防が健康増進、2次予防が病気や障害の早期発見・早期治療、3次予防がリハビリテーションということになります。
本来であれば理学療法士に求められるものは3次予防ですが、役割が1次や2次予防にも広がったことで、理学療法士のニーズは増したと考えられます。

予防理学療法が注目されている理由

予防理学療法が注目されている
少子高齢化の進行などにより、近年はさまざまな場面で健康維持や医療費削減の重要性が説かれています。
それに伴って、なるべく多くの人が健康な状態を長く保てるよう、「予防理学療法」に注目が集まるようになりました。

高齢者の介護予防は、この予防理学療法を理解するのに分かりやすいと言えます。
たとえば、高齢者の転倒予防を実施することで高齢者の転倒が減少すれば、骨折患者も減少するため医療費や介護費の抑制にもつながります。
病気の原因を追究することや病気の治療のために行われてきた「これまでの医療の形」とは異なり、現代では病気にかからないよう対策する研究が盛んになり、「予防」に注目が集まるようになっているのです。

ライフステージ別の予防理学療法

子どもに対する予防理学療法

子どもに対する予防理学療法では、子どもの成長・発達を促進させ、将来的な健康問題を予防することを目的として行われます。
具体的には、正しい姿勢の維持・筋力バランスの向上・運動習慣の確立といったものが挙げられ、遊びやスポーツを通じて体力・柔軟性などを高める活動が推奨されています。
また、適切な睡眠習慣の指導も重要視されています。

働く世代に対する予防理学療法

20~50代の働く世代に対する予防理学療法では、ストレス管理や運動習慣の定着が重要となります。
とくに長時間の労働環境の中では腰痛問題がよく挙げられますが、正しい姿勢・体力維持のための運動指導も効果的とされています。
加えて定期的な健康チェック・生活習慣の見直しなども推奨されており、早期の健康問題の発見と対策が重要視されているのです。
また若年性脳梗塞の患者さんも少なくなく、そのような患者さんに対しては身体機能を改善し、再発を防止するための運動や生活習慣の指導も必要となります。

産前・産後における予防理学療法

乳幼児や妊婦に対する予防も必要です。
乳幼児には、脳性麻痺などの先天性疾患や、出産時のトラブルによる後天性障害に対するリハビリテーションが必要とされています。
妊婦には、胎児の成長に伴う腰部・股関節の負担を軽減するための運動指導が有効でしょう。
適度な運動を行うことは出産に向けた柔軟性・体力維持・ストレス発散にも効果があるとされています。

高齢者に対する予防理学療法

予防理学療法では、高齢者の介護予防や健康寿命の延長についても重要視されています。
理学療法士は運動療法を通じてフレイルやサルコペニアなどの運動器に関する問題に対応し、転倒・骨折のリスクを軽減させます。
また適度な疲労や身体負担がかかる有酸素運動は、認知症予防にも有効です。
高齢者の健康増進・生活機能維持が理学療法士の役割とされており、社会全体の健康長寿化に貢献しています。

これからの理学療法士に求められるスキル

理学療法士に求められるスキル

  • 世代を問わないコミュニケーション能力

患者さんと1対1で関わる理学療法士は、患者さんとの信頼関係を築きながらリハビリテーションを進めなければなりません。
また、治療や施術をスムーズに進めるには、患者さんのご家族やほかの医療スタッフとも情報共有を行い、協力し合うことが大切とされています。
一人ひとりの話に耳を傾け、適切な対応につなげられるようコミュニケーションをとる能力は、理学療法士に欠かせないスキルです。

  • 障害別の理学療法技術

患者さん一人ひとりの状態や生活環境により、課題や必要となる理学療法は異なります。
そのため、理学療法士は「この症状に対するアプローチはどのようなものか?」「この現場で求められているのはどのような対応か?」といったことを考え、適切な理学療法を提供することで課題解決に努める必要があるのです。
相手の言葉や動作から情報収集・情報分析を行い、患者さんの課題を正確に理解するよう心掛けなければなりません。

  • 地域理学療法学

日本では2025年を目安に、医療・介護・地域が連携し、高齢者や障害者の暮らしを守る「地域包括ケアシステム」の構築が進められています。
高齢者や障害者が住み慣れた地域で健康的な生活を維持できるようにするには、病院・施設に限らず、自宅での生活を対象としたリハビリが必要となるのです。
そのような中で、身につけておきたいのが「地域理学療法学」に関する知識です。
地域理学療法学とは、「動作・活動への多面的な働きかけにより、人々が地域での暮らしを主体的に作り上げられるよう探究する学問」のことを意味しており、高齢者や障害者に優しい暮らしづくり・街づくり・地域づくりにまで及んでいます。

おわりに

本記事では予防理学療法とは何か、また理学療法士の活躍の場が広がっている理由についてご紹介しました。
仙台医健のプログラムでは、地域の実情に基づいた実践的な教育を提供しているため、現場での問題解決能力が育成されます。
加えて地域での実習や地域住民との密接な関係を通じて現場のニーズを理解し、地域密着型の理学療法サービスを展開していく力も養われます。
それにより、地域の健康促進・予防医療に貢献する理学療法士としてキャリアを積み上げていくことができるでしょう。

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