食分野

和食料理人になるには?仕事内容や年収や必要な資格、やりがいを紹介


「和食料理人の仕事内容は?」
「和食料理人になるにはどうしたらいいの?」
という疑問を持つ人もいるでしょう。
この記事では、和食料理人になる方法や仕事内容、平均年収などを紹介しています。
和食料理人に興味がある人は、ぜひ参考にしてください。

和食料理人とは?仕事内容を解説


和食料理人とは料亭、ホテルなどで和食を作る職業のことを指します。

名称や仕事内容は長くなるため、以下の2つに分けて解説していきます。

  • 和食料理人の別の呼び方は「日本料理人」や「板前」
  • 和食料理人には5つの段階がある

この機会に覚えておきましょう。

和食料理人の別の呼び方は「日本料理人」や「板前」

和食料理人は「日本料理人」「板前」とも呼ばれます。

呼び方が違うだけで、同じ職業です。

和食料理人には5つの段階がある

和食料理人には一人前になるまで以下の5つの段階があるので、それぞれの仕事内容を解説していきます。

追い回し・下積み

まずは追い回し・下積みを経験します。器の準備や野菜の下処理、洗い物や掃除などをおこないます。

料理を提供するための準備や段取りをしっかりと覚える段階です。

スタッフ用の食事である「まかない」も作ります。「まかない」は先輩へのアピールにもなるため、丁寧に調理をおこないます。

八寸場・盛り付け

八寸場・盛り付けはその名のとおり、料理の盛り付けを担当します。料理を美しく見せるための盛り付けは重要な要素です。コース料理であれば、お客様の食べるスピードに合わせて盛り付けをしていきます。

先輩の盛り付けを見ながら、実力をつけていきましょう。

焼き場、揚げ場

焼き場、揚げ場は魚の焼き物や天ぷらを担当します。焼き加減によって料理の味が変わるため、重要な役割です。

スピードも意識しながら丁寧に焼き物や揚げ物を仕上げていきます。

蒸し場、煮方

蒸し場、煮方は料理の味を確認する役割です。料理を蒸したり、だしを取ったりして、お店の味を支えます。

料理の繊細な味がわかるように味の濃い料理は避けるようにしましょう。

若手の育成も担当します。調理をおこなうだけでなく、調理場全体を取り仕切ります。

板場

刺身を切る役割です。刺身は切り方がおいしさを左右するため、重要な役割です。

お客様とお話しながら刺身を作ることもあるので、コミュニケーション能力も求められます。

和食料理人のなりかた


和食料理人になるには、大きく分けると2つの方法があります。

  • 飲食店に勤める
  • 大学や専門学校を卒業する

それぞれ解説していきます。

なお、和食料理人や板前と聞くと「男性」をイメージする人が多いかもしれません。しかし、和食料理人は女性もなれる職業です。

飲食店に勤める

飲食店に勤めながら、実務経験を積み和食料理人を目指す方法です。

「すぐに現場で働きたい」という人には向いている方法です。ただし、調理技術や知識を独学で学ぶ必要があります。そのため、大学や専門学校で学ぶ場合に比べて、修業期間が長くなる可能性があります。

大学や専門学校を卒業する

高校卒業後に大学や専門学校に進学して、和食料理人を目指す方法です。

飲食以外の幅広い知識を得たいなら、大学。実習を通じて和食料理人に必要な技術や知識を身につけたいなら、専門学校がおすすめです。

体系的に学ぶことで、下積み期間を短縮できたり、卒業後の活躍が早まることにつながります。

和食料理人に必要なスキルは?


和食料理人に必要なスキルは、主に次のとおりです。

  • 調理技術
  • 食材に関する知識
  • 協調性

それぞれ解説します。

調理技術

おいしい料理を提供するために、和食調理人には幅広い調理技術が必要です。
刺身の切り方だけでも以下の種類があります。
「平造り」:厚みのある魚を切るときに使う
「そぎ切り」:白身魚を薄く切るときに使う
「切りかけ造り」:皮のかたい魚を切るときに使う
「細造り」:身が薄い魚を切るときに使う
調理技術は奥が深いため、コツコツと経験を重ねて習得をしていく必要があります。

食材に関する知識

食材に関する知識も求められます。和食は四季の食材を使って作るため、旬の食材を覚えておく必要があります。
春:たけのこ、カツオなど
夏:きゅうり、アジなど
秋:栗、サンマなど
冬:白菜、ブリなど
また、おいしい食材を仕入れるための見分け方も知っておくことが求められます。たとえば魚なら目が充血しておらず、全体的にふっくらしていると、新鮮で脂が乗っているとされています。
食材に関する知識も和食料理人には欠かせないので、身につけておきましょう。

協調性

協調性も重要な要素です。和食料理人は、複数人で調理や盛り付けなど役割分担をして料理を提供するからです。

たとえば、「この料理は食材が崩れやすいから慎重に盛り付けてください」と伝えると、盛り付けを担当する人の負担を減らせるでしょう。

チームで料理をするため、自分だけでなく相手の工程のことを考えて仕事をする協調性も重要となります。

和食料理人に必要な資格は?


和食料理人に必須の資格はありません。しかし、和食料理人を目指すうえで、次のようなさまざまな資格があります。

  • 調理師免許
  • 専⾨調理師・調理技能⼠
  • 食品衛生責任者
  • 製菓衛生師免許
  • ふぐ調理師免許

ぜひ参考にしてください。

調理師免許

就職時に調理師免許を持っていなくても雇ってくれる職場はあります。しかし、「調理師免許」が応募条件になっている職場も多いため、取得しておくと就職先の幅が広がります。

和食料理人を目指す人は取得を目指しましょう。

調理師免許は養成施設を卒業するか、実務経験を積んだあとに試験に合格すると取得できます。

参考:令和4年度調理師試験 – 調理技術技能センター

専⾨調理師・調理技能⼠

専⾨調理師・調理技能⼠はその名のとおり、より専門的な調理師の資格になります。

取得しておくと料理の実力を対外的に証明しやすくなります。6~8年(この内、調理師免許を取得している期間が3年以上)の実務経験が受験資格です。

学科と実技の試験に合格すると取得となります。

日本料理や寿司について極めたい人は挑戦してみましょう。

参考:調理技術技能評価試験について – 調理技術技能センター

食品衛生責任者

食品衛生責任者は食品の衛生を管理する資格です。

各都道府県の食品衛生協会が開催する講習を受講すれば、取得できます。

飲食店には食品衛生責任者を常駐させなければいけない決まりがあるため、和食料理人として独立を考えている人は取得しておくとよいでしょう。
参考:食品衛生責任者について|一般社団法人東京都食品衛生協会

製菓衛生師免許

製菓衛生師免許は和菓子や洋菓子などのお菓子作りについて、技術や知識を証明する資格です。

和食料理人は和菓子を作ることもあるので、取得しておくと役に立つでしょう。

受験には2年以上の菓子製造業の実務経験、または1年以上の菓子製造業の養成施設(各都道府県が指定)への通学が必要です。

参考:製菓衛生師 – 厚生労働省

ふぐ調理師免許

ふぐ調理師免許はふぐを調理するための技術や知識を証明する資格です。

和食料理人はふぐを扱うこともあるので、合格しておくと就職の際に有利になるでしょう。

受験資格や難易度は都道府県ごとに異なります。

参考:令和4年度東京都ふぐ調理師試験の実施について 東京都福祉保健局

和食料理人の魅力ややりがい


和食料理人の魅力ややりがいは、主に次のとおりです。

  • 多彩な食材を扱える
  • 多岐にわたる調理技術を身につけられる
  • 四季やイベントに合わせた表現力を身につけられる

順番に説明します。

多彩な食材を扱える

和食は日本各地の食材を使用します。北海道の蟹や新潟県の米、静岡県のマグロなど、地域ごとのおいしい食材を使って料理をできるのが魅力です。

同じ食材でも、地域によって生で食べたり、蒸したり、焼いたりと食べ方が異なります。

和食料理人には多彩な食材を扱いながら「どうやっておいしくお客様に提供しようか?」と考える楽しみがあり、長く勤めても飽きることがないでしょう。

多岐にわたる調理技術を身につけられる

和食料理人は焼く・煮る・揚げる・蒸す・発酵させるなど多岐にわたる調理技術を身につけられます。

たとえば、肉や魚の場合、食材が同じでも焼き加減によって風味や味が変化してしまうため、高度な技術が要求されます。

プロの料理人として幅広い調理技術を身につけられることもやりがいであり、魅力のひとつです。

四季やイベントに合わせた表現力を身につけられる

和食は日本の四季と密接に関係しています。お正月に食べるお節のように行事に合わせた料理が作られるのも特長です。

夏なら花を、秋なら葉を添えたり、季節を感じさせる細工がされた器を使うなどして季節を表現します。

四季や行事に合わせた表現力を身につけられるのも魅力といえます。

和食料理人の大変なところ


和食料理人の大変なところは、主に次の2つです。

  • 衛生管理に気を遣う
  • 体力が必要

事前に覚えておきましょう。

衛生管理に気を遣う

和食料理人はお客様へ料理を提供するため、衛生管理に気を遣います。

例えば、食中毒が起きないように、食材の管理(賞味期限の確認や保存など)や調理器具の洗浄に注意する必要があります。

万が一、食中毒が起きた場合は、お客様に迷惑をかけるだけでなく、お店が営業停止になる恐れもあります。

そのため、衛生管理には常に気を付けながら働く必要があります。

体力が必要

和食料理人には体力が必要になることが多いです。

食材を運んだり、掃除をしたりして動き回ります。

ただし、「座っているより、体を動かしているほうが好き」という人には相性がよいと思います。

最初は体力が追いつかなくても、和食料理人として働くうちに自然と必要な体力がついてくるでしょう。

和食料理人の就職先や平均年収はいくら?


和食料理人の就職先や平均年収についてお伝えします。

  • 和食料理人の就職先
  • 和食料理人の平均年収

それぞれ解説していきます。

和食料理人の就職先

和食料理人の就職先は、主に以下のとおりです。

  • 料亭
  • ホテル
  • 旅館
  • 国内の日本料理店
  • 海外の日本料理店

和食料理人は和食を提供するお店が就職先になります。

和食は2013年にユネスコ無形文化遺産として登録されたことからもわかるとおり、海外でも注目されています。そのため、海外の飲食店で働くことも可能です。
和食料理人の平均年収
和食料理人の平均年収を調べたところ、公的なデータでは具体的な金額は公表されていませんでした。そのため、「indeed」「求人ボックス」に掲載されている和食料理人(日本料理人)の求人情報を参考に解説します。求人情報によると和食料理人(日本料理人)の平均年収は240~700万円程度です。

国税局がおこなった「令和3年分 民間給与実態統計調査」によると、正社員全体の平均年収は508万円となっています。

和食料理人の場合、修業期間中は年収が高くない場合もありますが、実力をつけるうちに年収は上がっていくでしょう。

また、和食料理人として独立して自分の店が軌道に乗れば年収1,000万円も目指せるため、高所得も夢ではありません。

引用:日本料理人 料理長の求人 – 東京都 | Indeed (インディード)
引用:日本料理人の仕事・求人情報 – 正社員|求人ボックス
引用:令和3年分 民間給与実態統計調査

まとめ:和食料理人を目指すなら専門学校がおすすめ


前述のとおり、和食料理人になるためには調理技術や食材に関する知識が必要です。ただし、独学でこれらを身につけるのは難易度が高いといえるでしょう。

たとえば、火加減や包丁の使い方を独学で身につけようとすると、なかなか習得できずに下積み期間が長くなってしまう恐れもあります。
そのため、和食料理人を目指すなら専門学校がおすすめです。専門学校は大学と比較すると実習が多く、実践を通じて技術や知識を身につけることが可能です。

数ある専門学校のなかでも、仙台医健・スポーツ専門学校の「調理師科」なら、調理の基礎から実践まで習得できます。また、現役トッププロから学ぶことも可能です。

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