料理人として将来働きたいと考えている人の中には、「どのような就職先があるのか?」「就職先によって給料はどのくらい異なるものなのか?」など、疑問を抱いている人もいるのではないでしょうか。料理人と一口に言っても、就職先は様々です。ここでは、料理人として働く場所や給料事情について解説しています。
料理人の就職先って?
料理人として就職先を考えるとき、ほとんどの方は飲食店で働く姿を想像すると思います。しかし、飲食店以外にもホテルや旅館、病院や学校など様々な業種で料理人の求人があり、働く場所によって仕事内容も異なります。味はもちろんですが、見た目で人を楽しませたいか、栄養バランスの取れた料理を作りたいのか、自分がオーナーとして店を出したいのか、安定した雇用を求めるのか、自分の理想とする働き方にあった勤務先を選ぶことが大切です。
飲食店
料理人の就職先として人気が高く、料理のジャンルもフレンチ、イタリアン、中華料理、和食、エスニック、インド料理など様々。個人店であれば提供するメニュー・経営スタイル、業務内容やお給料に関することも全てオーナーに委ねられています。チェーン店であれば母体となる企業に就職することになるため、安定性はあるものの仕事の自由度は低いかもしれません。
仕事内容:
どんな店舗でも新人はまず雑用や仕込み業務から始まります。飲食店での調理は調理方法などで分かれていることが基本となり、各ポジションで一人前に仕事ができるようになるのが目先の目標です。いずれは責任者として厨房全体を管理できるように知識・技術を習得していきます。さらに上を目指す人は店舗経営のノウハウを学びながら働きます。
求められる適性・やりがい:
料理を作ること自体にやりがいを感じ、誰かに食べてもらうことに強く喜びを感じる人にとって、飲食店は向いていると言えます。また、将来的に独立や開業をして自分の店を持つという夢・目標がある人にとっても、ノウハウを実際の現場で学べることは貴重な経験となります。
ホテル・旅館
ホテル・旅館内のレストランや料亭での勤務となります
仕事内容:
こちらもやはり初めは見習い業務からスタート。前菜、スープ、メインなど担当が分かれており、各分野で技術を磨かないと次の段階に進むことはできません。質の高い料理をスピード重視で作る技術はもちろんのこと、使われる食材の産地や特徴などを説明する機会もあるため食材に関する知識も身に付きます。飾り切りのように見た目に特化した技術もいずれ習得する必要があります。
求められる適正・やりがい:
ホテルや旅館は、記念日や特別な日に利用するお客様に料理を提供できるやりがいがあります。そのため、誰かの喜ぶ顔を考えながら行動するのが好きな人やお祝いをすることが好きな人が向いています。ホテルや旅館は、毎年の記念日や誕生日のお祝いなどで長くお付き合いのあるお客様がいます。お客様の人生の節目や特別な日に、自分が作った料理で喜んでもらえるのは大きなやりがいとなります。
病院や介護施設
入院中の患者さんに適した食事をつくるのが病院や介護施設に勤務する料理人の仕事です。需要が高く、景気に左右されないので雇用が安定しているのがメリットです。管理栄養士が考案したレシピを元に、アレルギーやカロリーに配慮した調理を心がけます。調理だけでなく施設の清掃や配膳なども業務に含まれることもあります。
仕事内容:
調理器具を用いて、たくさんの食事を一度に作ります。一般的な食事内容だけでなく、流動食、飲み込みやすいように食材を刻みとろみをつけた食事なども作ります。産婦人科がある病院では豪華なお祝い膳を作る事もあるでしょう。一人一人に腕をふるう、ということは無いので一般的な料理人のイメージとは少し違いますが、多くの人を支える大切な仕事です。
求められる適正・やりがい:
景気に左右されず雇用状況が安定しており、勤務時間・休憩もしっかりと確保されているので、調理の仕事のなかでは働きやすい仕事です。また、カロリーや栄養バランスに興味がある方は栄養管理や栄養指導をする管理栄養士を目指すこともできます。ただし、仕事につくための条件として調理師・栄養士の免許が求められる場合は、大学や専門学校で調理について履修し学ぶか、飲食店などで規定年数勤務したのち資格を取らなければなりません。
学校の給食室
こちらも病院や施設と近しい仕事で、管理栄養士・栄養士が作成した献立に沿って生徒の食事を作ります。病院は1日3食調理する必要がありますが、学校は昼食だけで変則シフトにはならず、土日祝はお休みです。公立校ならば公務員扱いとなり、給料も安定しています。
仕事内容:
大きな調理器具を使い、まとめて食事を作ります。基本的には全員同じ食事ですが、アレルギーを持った子のために特別食をつくることもあります。食事を作った後はしっかりと調理器具を洗浄し、翌日の調理に向けて準備します。長期休みは勤務時間が短くなり、念入りな掃除や研修などを受けます。
求められる適正・やりがい:
公立校の給食を作る仕事はれっきとした公務員であり、公務員年収は調理師の平均年収を大幅に上回っているため、安定した仕事に就きたいと考える方にピッタリです。雇用契約によっては栄養士や調理師の資格が必要になることが多いです。ステップアップに向けて、調理師の資格を取得しておくとよいでしょう。
独立・開業
料理人として経験を積み、経営ノウハウなども身に付けていけば自分のお店を持つ夢も叶えることができます。人気店として繁盛すれば高収入を得られ、2号店3号店と規模を拡大できますが、調理以外にも経営や集客などの知識が必要になることが増えてきます。
仕事内容:
開業前には店舗内装や外装のデザイン、メニューの考案、開業手続き、従業員の雇用などが必要です。開業後は毎日の仕入れ、帳簿管理、従業員に関する事務手続き、確定申告なども必要になり、料理以外の仕事がどんどん増えていきます。
求められる適性・やりがい:
ただおいしい料理を作っているだけで店を軌道に乗せるのは難しいです。経営力に加えて、色々な方法を用いた宣伝方法なども学ばねばなりません。自分の店をいつか持ちたい、繁盛店にしたい、という高いモチベーションを長く維持することが大切です。
料理人のお給料って?
料理人として働く人の給料は、正社員平均で419万円、派遣社員で平均時給1,350円と日本の平均年収よりはやや低め。月給換算では35万円程度ですが、手取り額はここから保険料・年金などが引かれますので約27万円といったところです。初任給は月給27万円程度なので、手取りは21万円ほどになるでしょう。
参照:料理人の仕事の年収・時給・給料(求人統計データ)│求人ボックス
飲食店の給料傾向
平均年収:383万円
初任給:21万円程度
勤務先の規模が大きくなればやや給料は高くなる傾向があります。また、給料は年齢が上がるだけではあまり変わりません。技術を身に付けて対応できる仕事が増えた場合に給料も増えることが一般的です。個人店では売上が良かった月に追加ボーナスが支払われることもあります。
参照:レストランの仕事の年収・時給・給料(求人統計データ)│求人ボックス
ホテル・旅館の給料傾向
平均年収:276~390万円
初任給:20万円程度
ホテルは勤務先の規模は大きいイメージですが、それに反して初めの頃は見習い期間として初任給が低いことが多い職場です。ただしボーナスがあることが多く、年収ではではまずまずの額となります。しばらく働いて役職がつくポジションまで上がれれば、料理人の平均給料を上回ることが可能です。有名ホテルの総料理長は年収1,000万円超ともいわれています。
病院や介護施設の給料傾向
平均年収:300~500万円
初任給:20万円程度
店舗のように客足によって収入が変化することのない安定した業界であり、また管理栄養士・栄養士などの資格保持者であればその分が給料に上乗せされ、他の料理人よりは給料が高めです。病院は全国各地にあり、国立病院・県立病院などで勤務する場合は公務員扱いとなるので、年齢が上がるにつれ給料も上がっていきます。
学校の給食室の給料傾向
平均年収:300万円~600万円以上
初任給:20万円程度
民間事業者では年収300万円程度となりますが、公務員として働くならば給料は年齢を重ねるほど上昇。最終的には600万円以上の年収を得ることができます。学校給食調理員として長く、安定して働きたい場合は公務員として働ける場所を探すとよいでしょう。
独立・開業の収入傾向
平均年収:627万円
この金額は店舗経営が黒字になっている場合の目安で、赤字の場合は200~300万円ほどまで落ち込んでしまいます。集客やメニュー開発の知識が不足して赤字になり、経営だけではどうにもならず、アルバイトを掛け持ちする方も・・・。業態別では、原価の低い居酒屋やカフェ経営者の年収は高く、利益率の低い定食屋や客足が鈍いバーなどは収入が低い傾向にあります。
料理人がお給料を上げるためには?
料理人の平均年収は低めですが、それでも本人の努力次第で給料UPを狙うことは十分可能です。働き始めてすぐには難しいですが、学生のうちから対応できるものや経験を積めば実践できるものがあります。それぞれ紹介します。
スキルを身に付ける
料理人で必要なのは、料理の腕前です。忙しい時間でも料理を早く正確に仕上げるスキルを身に付けたり、特定の分野で誰にも負けない技術を磨いたり、有名店で修行して経験を積んだりすることでスキルが身に付きます。ホテルのように、見た目が重要視される料理を手掛けている場合は、美しい盛り付けや食材のカービング技術を磨いてもよいでしょう。お店にとって有用な人材だと認められれば、特別な手当がつく可能性もあります。
実績を積んで交渉する
いくらスキルを身に付けたとしても、上層部まで自分の活躍が届いていないと給料は上がりません。オーナーや店舗の責任者がなかなか自分のことを評価してくれない場合は、自分からアピールするのも手です。勤務先でのキャリアの長さや自分の実績、店舗にどれだけ貢献しているかなど、アピールできることをまとめて交渉すれば、給料を上げてもらえるかもしれません。ただしこの方法は頻繁には使えず、実績が伴っていることが前提です。結果や貢献度を数字にできたり目に見えるものにしたりして交渉しましょう。
資格(調理師、管理栄養士など)を取得する
料理に関する資格として代表的なものに調理師や管理栄養士があります。給食室や病院・介護施設などで働きたい場合には必須の資格で、飲食店でもこれらの資格が評価されます。また、野菜やお酒、発酵食に関する資格などもあり、取得すれば自身の知識量をアピールできます。大手チェーンであれば、社内独自の検定に合格することで手当が貰えることもあります。
独立する
一番収入を増やしやすい方法ですが、初期投資やリスクを考えると中々一歩踏み出すのは難しいです。お店が軌道に乗るまでは苦しい道のりが続きますので、独立を考える際は夢や希望ばかりで先走るのではなく資金の用意や集客についての知識を身に付け、じっくりと検討してからにしましょう。
まとめ
料理人という仕事は、多くの方がイメージする飲食店勤務のほか、ホテルや旅館、病院、介護施設、学校など様々な就職先があり、それぞれ求められる仕事の内容、やりがい、給料も異なります。
どの仕事を選ぶにしても大切になるのが「調理師免許」。多くの企業が料理人の採用条件として調理師免許を上げていますが、この資格は専門学校などで学んで取得するか、実務経験を積んだうえで試験に合格しなければなりません。学生のうちに取得できるカリキュラムがあるなら、絶対に取っておきたい資格です。
仙台医健・スポーツ専門学校の調理師科は、2年間で和洋中の基礎はもちろんデザートやドリンクなどの知識まで授業で学ぶことができ、どのような業種の料理人になりたい方でも実践的なカリキュラムを受けられます。学生のうちから様々なことを学べる上、調理師免許も学校を卒業することで取得できるため、卒業後に選べる進路先も幅広い選択肢をつくれます。
【仙台医健・スポーツ専門学校 調理師科について】
https://www.sendai-iken.ac.jp/culinary/course/licensed_cook/
将来料理人を目指すなら、まずは仙台医健・スポーツ専門学校のオープンキャンパスを覗いてみてください。
https://www.sendai-iken.ac.jp/event/culinary_index.html