朝からパンの焼ける美味しい香りに包まれて働けるあこがれの職業・パン職人。最近はフランス語でパン職人を指す「ブーランジェ」と呼ぶホテルや個人店も増えています。
「パン職人はどんな就職先が選べるのか?」「お給料はどのぐらい貰えるのか?」「たくさん稼げるようになるにはどうしたらよいのか?」など、パン職人として働くために知っておきたい情報をまとめました。将来の進路を考える際に参考にしてみてください。
パン職人の就職先として一番に思いつくのが、チェーン展開されているお店や小さな個人店など街にあるベーカリーやブーランジェリー。その他の就職先として、手作りパンを提供するホテルやレストラン、パンを製造する食品メーカーなどで活躍している人もいます。
個人店
パン職人を目指す学生にとって人気の就職先ですが、毎年必ず採用があるわけではなく基本的には「人手が足りなくなった時に募集をかける」スタイルが多いので、希望のお店で働くためには常に求人情報をチェックしておく必要があります。学生のうちからアルバイトをして現場の仕事を知っておくと、就職する際強みとしてアピールできます。
仕事内容
朝から美味しいパンを提供するために、早いうちから仕込み作業が始まります。仕込みが終わったあとは、パンの陳列をしつつ、お店のオープンに合わせてお客様への接客も行います。自分が作ったパンをお客様が手にとってくださる瞬間にやりがいを感じます。
求められる適正ややりがい
パン作りの全ての工程に携わることができ、お客さんとの距離も近いので「自分で作ったパンで誰かを喜ばせたい」という気持ちが強い方に向いています。また、新商品のアイデアを出す、パンのデザインを考えるチャンスも頻繁にあるので、自分オリジナルのパンを考えるのが好きな方にもオススメです。
ベーカリーチェーン
全国展開されている有名ベーカリーチェーンも企業ごとに運営方針が異なるので、事前にどのようなスタイルで店舗運営をしているのか調査が欠かせません。積極的にパンの大会に出場するようなベーカリーチェーンもあれば、パンの美味しさを追及することにこだわりをもっていたり、各店舗内にて生地の仕込みからスタートしたりするベーカリーチェーンもあります。そのような環境であれば職人としての技術力向上の機会があるといえます。
仕事内容
基本的にはパンの仕込み・成形・焼成が仕事ですが、作るパンの数も、所属するスタッフの数もかなり多くなるので、工程に合わせて役割を分担してパンを作ることになります。中には、生地作りは工場で行い店舗では焼くだけ、というお店もあるので事前に仕事内容をチェックしておきましょう。
求められる適性ややりがい
大手企業が母体となるため、福利厚生や雇用保険を重視している人は個人店よりもベーカリーチェーンおすすめ。たくさんのパンを作る知識や技術の習得、売れ筋商品のアイデア、ディスプレイの方法を知りたい人にも向いています。新卒採用も多く、研修もしっかりしているため、まずはチェーン店で働きながら学ぶのもよいでしょう。
ホテル
ホテルのコース料理や朝食で出されるパン、ベーカリー部門で作られるパンは、料理との味のバランスも考えて作られる一級品。実は大きいホテルほど福利厚生もよく、個人店よりも給料が高くもらえるため、安定を求めてホテルのベーカリーへ転職する人も多くいます。
仕事内容
定番のパンを定番のスタイルで焼き上げる仕事が主で、味はもちろん見た目の美しさも兼ね備えた製パン技術を高めることができます。ホテルのパンは様々な料理との相性を考える必要があり、一見シンプルなホテルブレッドは職人の経験と技術がぎゅっと詰め込まれた傑作なのです。
求められる適性ややりがい
ホテルには経験豊富でコンテスト入賞経験のある先輩シェフが多い傾向があります。パン作りの知識や技術を隣で見て学べるのが最大のメリットです。また転職や独立を考えた時、一流ホテルで働いた経験があると有利になることがあるため、将来を見据えてまずはホテルで経験を積むのもオススメです。
レストラン
レストランは早朝からの営業ではなく、街のパン屋さんのように仕事が朝早いことはありませんが、ディナータイムで夜が遅くなります。 店内で仕込みからしているレストランであれば職人として成長できますが、レストランチェーンだと店舗では焼くだけの場合があるため、事前に仕事内容の確認が必要です。
仕事内容
店内で焼き立てパンを提供しているレストランでは、ランチやディナータイムにたくさんのパンを焼き上げます。お客さんの食事ペースに合わせて焼き上げるため、細かな時間調整が必要です。提供するパンは店舗により異なりますが、例えば、小さめのパンを何度も焼く 場合は営業中、絶えず動き回る必要があります。
求められる適性ややりがい
焼き上がりのタイミングを考える必要があるため、お客さんの食べるペースにあわせて柔軟に対応できる方に向いています。近年よく見る「パンの食べ放題」を提供しているレストランでは、その日の来店しているお客さんの傾向を見ながらパンの種類や量を臨機応変に調整する力も求められます。
食品メーカー
スーパーやコンビニで販売されているパンを作る食品メーカーでは、機械でパンを大量生産しています。業務によって携わる工程は全く異なり、商品開発や市場調査の部門では、日々パンを捏ねるような仕事はできません。しかしお客さんやパンの知識に長けた同僚・上司からの厳しい指摘は将来開業したい人や自分の技術を磨くうえで役に立つでしょう。
仕事内容
商品開発からパン製造、販売後の市場調査まで業務内容はかなり幅広いです。営業・企画系の部署の場合、日々自分でパンを作るよりも、競合店や有名店のパンを調査する仕事がメインになってきます。工場勤務でも機械操作や同じ作業がメインで、パン生地を触ったりオリジナルのパンを作ったりという仕事はあまりできないかもしれません。
求められる適性ややりがい
パン職人として自分のお店を立ち上げる前に、売れ筋のパンを考えるアイデアやマーケティングの方法をしっかり学んでおきたい人には食品メーカー勤務は最適。パンを作ることはもちろん、パンを食べるのが好き、新しいパンを考えるのが好きな人にも向いている就職先だといえます。
パン職人のお給料って?
仕事としてパン職人・ブーランジェを目指すなら、気になるのはやはり給料面。基本的に料理人は一般的な平均額より給料が低めになる傾向がありますが、パン職人も同様です。収入の平均額を、初任給はいくらぐらいになるのか、見ていきましょう。
パン職人の給料
平均年収:286万円~373万円
特に個人店は正社員として雇うことが少なく、アルバイト扱いの場合は年収200万円に届かない場合も。大手チェーンのベーカリー、メーカー勤務となれば300万円台まで上がりますがそれ以上の給料アップは難しいこともあります。年齢・経験を積んだからといって一気に給料が上がるわけではなく、オーナーや企業の意向によっては自分が考案したオリジナルのパンを作る機会も少ないため、将来的には独立開業を目指していく人が増えていきます。
パン製造メーカーの給料
平均年収:420万円
個人店よりは給料は高く、また様々な手当もあります。社内の評定、役職により貰える額が異なり、長く勤めて経験を積むほど高い給料が貰えるようになります。ただし、役職がつくとパンに関わる仕事よりも管理職として部下をまとめる仕事が増えてくるため、パン職人とは異なる方向のキャリアパスになるかもしれません。
独立開業した場合の給料
平均年収:314万円
繁盛店になった場合:600万円~
パンは単価も個人の購入額も比較的安く、開業したからといってすぐに収入を上げることはできません。開業資金も600~1,500万円ほど必要になるため、しばらくはお金のやりくりが厳しい生活となります。しかし、自分で考えたパンを好きなだけ作って販売できる、というのは何にも代えがたい魅力。販売時間や休日も自由に設定できるため、企業勤めのパン職人よりも生活にゆとりが生まれます。
パン職人がお給料を上げるためには?
これまでも紹介してきたように、パン職人は料理人の中でも薄給な部類ですが、給料を上げる方法はいくつかあります。将来独立開業する際に有利に働くキャリアやスキルもあるので、就職前や働きながらも出来る範囲でチャレンジしてみましょう。
スキルを身に付ける
パン職人・ブーランジェとして働くために何よりも必要なのが、パン製造のスキルです。例えばアルバイトから入ったとしても高いスキルを身に付けた人は短期間で責任者のポジションに就くことができ、業務範囲が広がるため給料も上がります。ベーカリーチェーンであれば、その更に上のポジションであるエリアマネージャーや、技術指導を行う業務まで上り詰めることもできるでしょう。
有名店で実績を積む
修行として人気店・有名店で働いてみるのも良い経験です。店舗によって基本的なパンの作り方、新商品の考え方、ディスプレイ方法なども異なりますので、色々なお店の良いところを吸収することで職場に貢献できます。それにより売上が上がれば評価が上がり給料が上がる可能性があるでしょう。
ただし、勤務先と有名店のダブルワークをする場合は体力がないと続きません。一時的に仕事を休んで修行に出るなら勤務先の承諾も必要になります。修行中はアルバイトとして働くことが多いため、金銭面でも厳しくなることは理解しておきましょう。
大会やコンクールで入賞する
パン職人としての技術を証明できるものとして、パンの大会やコンクールがあります。日本でも有名なのは「ベーカリージャパンカップ」。調理パン、菓子パン、食パンの3部門で競い、日本一のパン職人を決めます。その他、国内では「日本全国ご当地パン祭り」「パングランプリ東京」などが開催されています。
海外では「クープデュモンド」「モンディアルデュパン」「イバカップ」などがあり、国内トップレベルの職人も出場しています。どちらも狭き門ですが、入賞した証明があれば特別手当がついたり、業務範囲が広がったりと給料が上がる可能性が高まります。
パン製造技能検定やパンシェルジュ検定といった資格を取得する
パン作りにも検定や資格があり、合格することで知識量・技術力の高さを証明できます。中でも「パン製造技能検定」は業界内でもかなり信頼が厚い国家資格ですが、挑戦するためには実務経験や専門学校などの指定学科を卒業などの条件があります。取得することで評価が上がったり、転職の際に評価してもらえたりするでしょう。
民間資格のパンシェルジュ検定は学生のうちからチャレンジしても良いでしょう。そのほか、通信講座を受講して資格を得るスタイルのパンマイスター、パンコーディネーターなどもあります。資格取得までの費用が掛かるため、優先順位を考えながら受けてみましょう。
独立する
収入が増える可能性が高い方法はやはり「独立開業」です。金銭面のメリットはもちろんですが、何といっても自分自身で一から考案したオリジナルのパンを提供できること、そして、そのパンをお客さんに直接手に取ってもらえることが魅力ではないでしょうか。独立するからこそ、自分のやりたいことを全部詰め込んだお店を作ることができます。
とはいえ開業までの道のりは簡単なものではありません。パン屋に限らず、独立開業した事業の5年後撤退率は80%以上ともいわれており、開業した後も軌道に乗せるのはとても難しいものです。ですが、学生のうちから出来る勉強・経験をする、将来いつまでに何をするという具体的な目標を立てる、などの努力を続けていけば、成功する20%に入ることも夢ではないでしょう。実践的な内容を本格的な製パン専門学校で学び、将来の人気店を目指しましょう。
まとめ
今や日本の食卓に欠かせないものとなっているパン。パン好きにとってパン職人という仕事は想像以上の楽しさとやりがいを与えてくれる仕事です。パン職人の仕事は今後も高い需要がありますが、給料面はあまり恵まれているとはいえません。ですが、資格を取る、技術を磨く、自分で独立開業するなど、取り組み次第で収入は増やせる職業です。
パン職人・ブーランジェを目指すなら、学生のうちからパン作りをしっかり学べる専門学校への進学が成功への近道です。仙台医健・スポーツ専門学校の製菓&製パンコースは、3年間のカリキュラムの中でパン作りの基本技術を学べるのはもちろん、その他販売力、ECサイトの運営など実際店舗で職人として働いてみないと分からないところや、販路の拡大方法まで授業内で指導してもらえます。さらにパンの名店として名高いメゾンカイザーなどで商品開発するなど内容もかなり実践的。卒業後は即戦力として現場で活躍できるでしょう。
【仙台医健・スポーツ専門学校 製菓製パンコースについて】
https://www.sendai-iken.ac.jp/culinary/course/bread/
パン職人として働きたい皆さん、仙台医健・スポーツ専門学校のオープンキャンパスで実践的な授業を体験してみてください。
https://www.sendai-iken.ac.jp/event/culinary_index.html