アスリートが最高のパフォーマンスを発揮するには、身体を鍛える「トレーニング」と、トレーニング効果をより高めるエネルギー補給や疲労回復を助ける「栄養管理」の両方が必要です。最近では、食を通じてアスリートの健康やパフォーマンス向上をサポートする専門家の需要が増えており、注目を集めています。
この記事では、アスリートの食に関する資格や知識をどのように身につけるのか、スポーツフードや栄養の知識を得るメリットは何か、そしてこれらの専門知識を生かした仕事やアスリートのサポーターに向いている人についてご紹介します。
記事の概要
アスリートの食に関する資格と仕事内容
食事面からアスリートをサポートするためには専門的な知識が必要です。その知識を深める方法の1つに資格取得があります。ここでは、アスリートの食事やスポーツ栄養に関する資格に焦点を当て、資格取得後の仕事内容についてもご紹介します。
スポーツフードアドバイザー®
スポーツフードアドバイザー®とは、スポーツ・アスリートに特化した栄養管理のアドバイスができる専門家のこと。日本能力開発推進協会(JADP)が認定している資格です。この資格では、体と栄養に関する知識、ライフステージや競技種目に合わせた食事やレシピ、メンタルケアなど、スポーツフードに関する知識を幅広く学ぶことになります。そのため、スポーツフードアドバイザー®は、食事を通じてアスリートの体調管理や試合のパフォーマンス向上をサポートできる人材であるといえます。
プロやアマチュアを問わずスポーツをする人に最適な食事指導ができるため、選手が競技に集中できる環境を整えるチームの監督・コーチやマネージャー、体づくりを支えるトレーナーなどの仕事に生かせます。自身がアスリートである場合には、専門的な知識を持って自分自身のケアができます。
スポーツフードマイスター®
スポーツフードマイスター®は、日本安全食料料理協会(JSFCA)が認定する資格であり、スポーツ栄養の専門家であることを示す称号です。この資格を持つ方は、単にスポーツ栄養の知識を持つだけでなく、スポーツに励む方のニーズに応じてバランスのとれた献立やレシピを考案できます。
試験では、トレーニング期やオフ期などタイミング別の食事、練習中・試合中の水分補給、サプリメントの使い方など、実践的な知識が問われます。そのため、スポーツフードマイスター®は、サポートする人の年齢やトレーニングの目的に合わせて食事管理を行い、食事面からフィジカル・メンタルのコンディションを整えることが可能です。
スポーツトレーナーとしてアスリートを支えるのはもちろん、ダイエットアドバイザーとして食事指導を行う、料理研究家としてバランスのいいレシピを提供するといった活動にも生かせる資格といえます。
アスリートフードマイスター®
アスリートフードマイスター®は、年齢・競技種目・試合のタイミングに応じた最適な食事プランを提案する専門家です。日本アスリートフード協会が認定する資格であり、アマチュアからプロまで幅広い方が取得しています。仙台医健・スポーツ専門学校のスポーツ学科でも、アスリートフードマイスター®の資格を取得することが可能です。
食事の重要性はアスリートの間で広く知られていますが、アスリート専用の食事に関する具体的な知識を持つ人はまだ少ないのが現状です。アスリートフードマイスター®の資格を取ることで、アスリート本人は適切な食事で最高のパフォーマンスを追求でき、指導者やサポーターはアスリートの体調管理や怪我の予防を食事面からサポートできます。
さらに、アスリートフードマイスター®はキャリアの選択肢を広げる資格でもあります。食事アドバイザーやセミナー講師としての活動はもちろん、新商品の開発や執筆活動など、さまざまな分野でのキャリア展開が期待できます。
スポーツフードスペシャリスト®
スポーツフードスペシャリスト®は、アスリートや部活動に励む子どもなどスポーツを行う方々の「食事」に関する指導ができる資格で、日本能力教育促進協会(JAFA)が認定しています。スポーツイベントが増える中で、スポーツフードの知識を広く指導できる人材の需要は高まっており、そのような人材の能力向上を目的としているのがスポーツフードスペシャリスト®です。
スポーツフードスペシャリスト®の資格を取れば、サプリメントの摂取方法、疲労の回復方法といった知識を指導できます。ジムのトレーナーや学校の部活動コーチとして、あるいは家族に対して適切な食事の提案やサポートができるので、栄養管理を学びたい方や家族が打ち込んでいるスポーツを栄養面からサポートしたい方におすすめです。
アスリート栄養食インストラクター®
アスリート栄養食インストラクター®は、スポーツ選手の栄養と食事に関する幅広い知識を持った専門家です。資格は日本インストラクター技術協会が認定しています。
この資格でアスリート向けの栄養学の知識を得ることで、トレーニングや試合のスケジュールに基づいた食事計画の提案、体重管理、効果的な弁当の提案といったアドバイスを行えます。さらに、持久力の向上、疲労回復、風邪・夏バテ予防など目的に応じた食事指導や、サプリメントの適切な利用方法といった専門的なアドバイスが可能です。
資格取得後は、アスリート栄養食インストラクター®として、自宅やカルチャースクールなどで講師として活動できるようになります。アスリート栄養食インストラクター®で得た知識は、アスリートとして活動する自分自身や家族の健康管理だけでなく、スポーツトレーナー、監督・コーチ、ジムのインストラクターなどの業務にも役立ちます。
公認スポーツ栄養士
公認スポーツ栄養士とは、スポーツの現場で競技者のパフォーマンスを高めるための栄養・食事の質を高める指導やサポートを行う専門家のこと。日本栄養士会と日本スポーツ協会が共同認定している資格です。また、資格取得の必要な講習を受ける場合は管理栄養士であることが条件のため、キャリアの幅を広げたい管理栄養士が公認スポーツ栄養士を目指すこともあります。公認スポーツ栄養士のニーズは幅広く、アスリート、ジュニア、健康志向のスポーツ愛好家に至るまで年齢・性別を問わず存在します。
主な仕事は、選手や関係者に向けた食に関する講習会の開催、栄養相談、栄養補給のプラン作成など。公認スポーツ栄養士は研究機関や教育機関、給食会社、病院などで活躍しており、スポーツ団体の要職に就いている方もいます。
アスリートの食に関する知識を身につけるメリット
ここでは、アスリートの食や栄養に関する専門知識を身につけるメリットについてご紹介します。主なメリットは以下の3点です。
- スポーツをする方を食事面からサポートできる
- スポーツに関するキャリアに生かせる
- 健康的な食事を作れる
スポーツをする方を食事面からサポートできる
スポーツフードや栄養に関する専門知識は、アスリート本人だけでなく、スポーツをする家族を支えるのにも役立ちます。部活動で体を動かしている子どもやアスリートのパートナーがいる場合は、「自分も何か力になりたい」という気持ちで知識を求めることが多いかもしれません。知識を身につけることで、食事面から体づくりやパフォーマンスの向上、怪我の予防や回復、メンタル強化などをサポートできるでしょう。
例えば、サッカーをしている子どもにバナナとヨーグルトのスムージーを用意して栄養補給を助けたり、マラソン選手のパートナーに鶏ムネ肉と野菜のステーキを出して筋肉の修復を促したりできます。
スポーツに関するキャリアに生かせる
スポーツフードや栄養に関する知識は、スポーツ関連の仕事で生かすことができます。例えば、スポーツ団体に対する栄養アドバイス、教育機関の講師やトレーナーとして活躍するでしょう。他にも、食品会社では新商品の開発やマーケティングに役立つこともあります。食に関する専門的な知識はキャリア拡大の第一歩となるでしょう。
健康的な食事を作れる
私たちの体は、食べたもので作られています。スポーツフードや栄養の知識に裏付けられた健康的な食事は、体脂肪や内臓脂肪の減少を助けたり、疲労回復を促したりします。体が資本となるアスリートの「食事」に関する知識は、スポーツのパフォーマンス向上だけでなく、日常の健康や体調の維持にも応用できるのです。
健康のために運動を取り入れている方もいますが、運動だけでは十分な効果を感じにくいこともあります。栄養バランスの良い食事と運動を組み合わせることで、より効果的な健康増進が期待できます。
食を通してアスリートに関わる仕事が向いている人
試合で最大のパフォーマンスを発揮するために、アスリートはしばしば食に対する深い知識を持った人々の支えを求めます。スポーツフードや栄養に興味を持っている人の中には、そのようなアスリートを支えたいと思いつつも、「自分に向いているんだろうか」と悩むことがあるかもしれません。ここでは、食を通してアスリートに関わる仕事が向いている人の特徴についてご紹介します。その特徴は、主に以下の4つです。
- 人のサポートをするのが好きな人
- スポーツが好きな人
- 料理が好きな人
- 物事の関係性を考えられる人
人のサポートをするのが好きな人
スポーツにおいて主役はアスリートであり、食事面でのサポートは基本的に裏方の仕事です。表舞台には出ず、ときにはアスリートからの要望に対し、細やかな気配りをしなければならないでしょう。裏方から全力で支えることに尽力を惜しまない人や、アスリートの成功を自分の成功と捉えて一緒に喜べる人に向いている仕事といえます。
スポーツが好きな人
食のサポーターがスポーツへの情熱を持つことは、食や栄養に関する深い専門知識を得る原動力となるでしょう。トップレベルの能力で競い合うアスリートは、最新のスポーツトレンドに敏感です。同様に、食のサポーターも新しい栄養のトレンドや動向を速やかに取り入れる必要があります。加えて、スポーツに詳しくなることは、アスリートやその他の関係者との円滑なコミュニケーションにも繋がります。
料理が好きな人
栄養学的な観点で献立を考えることも大切ですが、毎日続けて食べるためにはおいしい料理であることも重要です。料理が好きな人は、日々新しい食材や料理法にチャレンジする情熱を持っているため、アスリートからのメニューの要望にも柔軟に対応できるでしょう。
一方、料理へのこだわりが強すぎると、アスリートの体づくりにそぐわない献立にこだわってしまう可能性があります。こだわりと、アスリートの要求や反応をきちんと理解し、適切な食事指導を行うバランス感覚が重要です。
物事の関係性を考えられる人
アスリートごとに必要なサポートは異なるものです。特に食事面でのサポートは、アスリートの健康状態やトレーニングの内容など、さまざまな要因が食事計画に影響を与えます。アスリートの食の好みに左右されることもあるかもしれません。サポーターは、アスリートの年齢や性別、競技内容、ライフステージなどの多岐にわたる情報を総合的に分析し、適切な提案を行う必要があるのです。物事の関係性を洞察するスキルは、アスリートの食事サポートにおいて重要な能力といえるでしょう。
スポーツフードや栄養を学ぶなら仙台医健・スポーツ専門学校へ
食を通じてアスリートをサポートするとはどういうことか、そのような仕事に向いているのはどんな人かについてご紹介しました。「スポーツフードに興味がある」「食を通してアスリートをサポートしたい」と考えている学生さんにとって、専門学校選びは重要です。興味がある分野の学科があるか、どんな資格が取得できるかを調べるのも大切ですが、ぜひ説明会やオープンキャンパスに参加してみましょう。実際に学校へ足を運ぶことで、学校の雰囲気を体感できるというメリットもあります。
仙台医健・スポーツ専門学校のオープンキャンパスでは、授業や実習をダイジェストで体験できます。実際の授業や実習に触れることで、自分の適性や興味を確かめられるでしょう。
仙台医健・スポーツ専門学校のオープンキャンパスについて、詳しい情報はこちらからご覧ください。