日本におけるヨガの人気はここ数年でも上昇傾向にあると言われています。
本記事では、ヨガインストラクターになるための資格や仕事内容についてご紹介していきます。
記事の概要
ヨガインストラクターとは
ヨガインストラクターは、生徒に向けてヨガ指導を行うことで一人一人の健康促進を図り、ヨガの魅力・楽しさといったものを伝える仕事をしている人を指します。
ヨガの基本となる呼吸法や姿勢、専門的な知識・技術のほか、人体の身体の仕組みに関しての知識などを踏まえたうえで、それぞれの生徒に合わせたレッスン内容で指導を行います。
ここ数年の日本では、ホットヨガ・マタニティヨガ・キッズヨガといったジャンルが人気を集めており、インストラクターとしての活動範囲を大きく広げてきています。
ヨガインストラクターの仕事内容
ヨガインストラクターの主な仕事内容について見ていきましょう。
ヨガレッスン
ヨガインストラクターはヨガレッスンに通う生徒のレベル感・年齢層を見極め、それぞれの生徒にあったカリキュラムを組む必要があります。
生徒に初心者や高齢者の方が多い場合には、まずヨガに慣れてもらうため、ゆったりと楽しめるようなカリキュラムを計画して実施します。
生徒にヨガの経験者が多い・年齢の若い方が多い場合には少し難易度を高め、高度な技を取り入れた上級者向けのカリキュラムを計画して実施します。
生徒へのアドバイス・カウンセリング
レッスンでは初めにヨガインストラクターがお手本のポーズを見せ、生徒はそのポーズをマネするようにして同じ動きをします。
この際、ヨガインストラクターはポーズをとることだけに集中するというのではなく、生徒へ呼吸・姿勢のポイントを伝えながら積極的にコミュニケーションを取り、緊張をほぐしてリラックスさせてあげることが大切です。
また、定期的にカウンセリングを行うようにし、生徒それぞれのカリキュラムをきちんと明確にすることも重要です。
スクール運営・窓口など
ヨガスクールで勤務する場合、スクールの窓口にて問い合わせ・会計対応などフロント業務を行うこともあります。
またレッスンの開始前・終了後には、ヨガレッスン場の清掃といった雑務をこなすこともあります。
ヨガインストラクターの就職先
ヨガインストラクターの就職先についてご紹介します。
ヨガスクール・ヨガスタジオで勤務する
現在、日本のさまざまな場所にヨガスクール・ヨガスタジオが存在します。
ほとんどがアメリカ式のヨガで指導されていることが多いと言われています。
勤務構成としては、経営者・正社員(専従スタッフ)・フリーランス講師の3構成であることが多いです。
フリーランスの場合は主な業務がヨガレッスンですが、正社員として勤務する場合にはスクール運営・窓口対応・イベント企画といった業務にも携わることになります。
スポーツジム・フィットネスクラブで勤務する
スポーツジム・フィットネスクラブといった場所では、プログラムの一つとしてヨガを取り入れているところも多いです。
フィットネス・スポーツインストラクターとして勤務する場合は、ヨガ以外の運動指導を行ったり、施設運営に関わったりすることもあります。
地域のカルチャースクールでヨガインストラクターとして活躍する
地域のカルチャースクールでヨガのレッスンが開催されることもあります。
ここでは主に、フリーランスのヨガインストラクターが活躍しています。
生徒の多くはその地域の住民であり、「運動は得意というわけでは無いけれど身体を動かして何か運動がしたい」と考えている方の参加率が高いです。
独立してフリーのヨガインストラクターとして働く
独立し、フリーのヨガインストラクターとして働くこともできます。
ヨガ指導にあたるインストラクターの中には、施設専属のヨガインストラクターではなく、フリーランスで業務委託契約を結んだうえでその施設で働いているという方も少なくありません。
そのほか、お客さんに呼ばれて地方で「出張レッスン」「ヨガ体験イベント」を開催したり、自分のヨガスタジオをもって生徒を集め、指導を行ったりするヨガインストラクターもいます。
ヨガインストラクターになるには
「ヨガインストラクターになりたい」と思った時、どのようなことを始めると良いのでしょうか?
下記にヨガインストラクターを目指す方法をいくつかご紹介します。
方法1:民間資格を取得する
日本では、ヨガインストラクターになるための必須資格や国家試験といったものはありません。
そのため、資格が無くともヨガインストラクターを名乗って活動することはできます。
ただし、生徒に正しいヨガを指導したり、ヨガに通っている生徒からの信頼を得たりするには、やはり資格取得を行っておく方が安心なのです。
民間団体が運営している養成講座などを受講して資格の認定を受けた後、自分でヨガスタジオ・スポーツジムなどの専属インストラクターへ応募するというパターンがほとんどです。
方法2:専門の養成学校に通う
通信講座であってもヨガの方法を学ぶことはできますが、やはり教える側が正しく理解・把握し生徒に指導できていなければ、生徒が身体を痛めてしまう可能性もでてきます。
専門の養成学校に通っていればヨガの基礎~応用までをしっかりと学ぶことができるうえ、実技指導を直接受けることができるので、正しい技術を早く習得しやすいのです。
実際に実技で教わることによって、自分が指導する立場になった時にも未然にトラブル防止ができたり、咄嗟の事態にも慌てることなく対応できたりと役立つ場面は多いと言えるでしょう。
未経験からヨガスクール・ヨガスタジオに就職してヨガインストラクターになる例も
未経験の方であってもヨガスクールやヨガスタジオに就職し、基礎的な知識・レッスン構成などに関する研修を受けることで、ヨガインストラクターとして働くことができます。
ヨガインストラクター募集のためにヨガスクール・ヨガスタジオが養成講座を開き、それに参加することによってそのままスタジオに就職するというケースもあります。
ヨガインストラクターの資格
ヨガインストラクターで必ず取得しなければならない資格というものはありませんが、下記でご紹介する資格は持っておくと就職や集客で有利になることがあります。
一般社団法人全日本ヨガ協会(AJYA)
一般社団法人全日本ヨガ協会では、ヨガの本質を理解して心・身体の仕組みを学び、ヨガを通じて人との関わり・心の教育ができる指導者を育成することを目標としています。
一流の講師をそろえており、ヨガのノウハウを一から習得することができます。
資格取得することで知識・技術・ホスピタリティの3要素があわさった、総合的にバランスの高いヨガインストラクターを目指すことができます。
社団法人日本ヨガインストラクター協会(JYIA)
社団法人日本ヨガインストラクター協会は、もう一段階上の美容・健康・ストレス緩和を目的として、ヨガインストラクターの技術向上を目指して設立されたものです。
ヨガを通じてヨガインストラクターに必要な身体の健康・心の教育と、健康的な社会づくりを行うことを目標としています。
JYIA認定校でカリキュラムを修了して認定されると、ヨガインストラクターとして活躍できる場所が多く与えられます。
国際資格 全米ヨガアライアンス
米国を拠点としている非営利ヨガ協会であるのが、全国ヨガアライアンスです。
世界最大規模のヨガ団体と呼ばれている「全米ヨガアライアンス協会」が発行している資格です。
ヨガインストラクターに必要な指導や実践の技術・哲学などのスキルを学ぶための時間数が細かく決められています。
全米ヨガアライアンスに加盟しているヨガ認定校「認定ヨガスクール(RYS)」で受講することで、「全米ヨガライアンス認定インストラクター(RYT)」として認定書が発行され、協会に登録がなされます。
こちらの「全米ヨガライアンス認定インストラクター(RYT)」は世界クラスで活用できるヨガ資格であり、世界中のどこでもヨガを指導できる資格があるのです。
全国ヨガアライアンスの公式サイトによると、現在日本には216(2022年12月時点)の認定ヨガスクール(RYS)があるとされています。
インド政府認定
インドはヨガ発祥地であり、「インド式」でのヨガを学ぶことによって、より深いヨガの知識を身につけることができます。
インド式のヨガの内容は世界的に見ても評価が高く、インドでヨガの資格を取得することは、世界におけるプロのヨガインストラクターとしての肩書きを得ることにつながると言われています。
「インド品質委員会(QCI)」もしくは「ヨガ認定評議会(YCB)」により、インド中央政府によるヨガインストラクターコースが実施されています。
ヨガインストラクターに向いている人とは
ヨガインストラクターに向いている人の特徴を挙げていきましょう。
とにかくヨガが好き!美に興味がある人
ヨガインストラクターを本格的な仕事にしたいという方は、「とにかくヨガが好き」である必要があります。
ヨガを指導する中ではどうしても大変な場面が出てくることがありますが、そのような場面でも「ヨガが好き」という気持ちが強いほど、諦めずに困難を乗り越えようとする力や工夫がはたらきます。また、ヨガはデトックスや美肌効果もあり筋肉がほぐれることで血流がよくなり、深い呼吸によりメンタルやホルモンバランスが整い代謝もアップします。 それにより、脂肪燃焼や肌のターンオーバーが期待できるため、ダイエットや美肌効果にもつながるので、美容に興味のある方にも向いていると思われます。
常に知識・スキルを磨き続けられる人
ヨガにはさまざまなポーズがあり、その中には集中して熱心に取り組まなければできないようなポーズも多いのです。
そのようなポーズをできるようにするには、ヨガスキルを磨かなければなりません。
またヨガはとても奥深いものであるため、ヨガの考え方・歴史といった知識の部分でも多くのことを学ぶ必要があるのです。
知識を身につける・スキルを磨くことを継続して行い続けられるかということが、ヨガインストラクターとしての向き・不向きを左右しているとも言えます。
人に分かりやすく教えられる人
レッスンにはヨガ経験がある人だけでなく、ヨガが初めてだという人も参加します。
ポーズ指導などを行う際、そのような方たちに向けて分かりやすく教えてあげることができるかということも大切なポイントです。
「人に物事を分かりやすく教えられる」という人が指導を行うことで、ヨガ初心者の人でも途中で挫折してしまうことなく、意欲を持って取り組むことができるでしょう。
流行りの「ピラティス」は「ヨガ」とどう違う?
「ヨガ」と混同してしまいがちな言葉に「ピラティス」があります。
ピラティスは近年、海外で流行っていますが、一体ヨガとどのような違いがあるのでしょうか?
ピラティスを継続すると、身体機能改善・姿勢改善が期待できます。
一方、ヨガはどちらかというと精神面への効果を重視しています。
もちろん、ヨガのポーズをキープし続けることで筋肉・関節が柔らかくなり、筋持久力・バランス感覚も養うことができるため、肉体面への効果も見込むことができます。
しかし根本的には、肉体に意識を向けることで瞑想につながり、不安定な感情・精神をリセットすることができるため、精神面への効果は大きいと言えるのです。
またヨガの呼吸法である「腹式呼吸」とは違い、ピラティスの呼吸法は「胸式呼吸」です。
腹式呼吸は副交感神経に働きかけてリラックスする効果を与えるのに対し、ピラティスの胸式呼吸は交感神経に働きかけ、頭・身体を活性化させる効果をもっています。
ヨガインストラクターの需要・将来性
日本においてはヨガスクール・ヨガスタジオで行われるヨガに限らず、民間のスポーツジム・フィットネスクラブ、地域のカルチャースクールなどでさまざまなジャンルのヨガが行われています。
近年では医療・介護の現場でヨガのプログラムが導入されることがあるなど、ヨガに対する期待値は高まってきています。
そのため、ヨガを指導する側であるヨガインストラクターの需要も高い状態が続くのではないかと言われています。
コロナ禍による「オンラインヨガ」も増加している?
2020年に起きた新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、これまでに外出自粛が要される場面が多くありました。
その結果、ヨガ教室・スポーツジム・フィットネスクラブなどが閉鎖に追い込まれ通うことができなくなったり、在宅ワークによって身体を動かす機会が減ってしまったりと、「日常的な運動不足」に悩まされる方も少なくありませんでした。
それに向けての対策として、対面ではなくオンラインでヨガの指導を受けられる「オンラインヨガ」が誕生しました。
コロナ渦でも安心して運動できるという魅力
現在でも、人が多く集まる場所でヨガインストラクターと生徒の距離が近づいてしまうことに抵抗を持つ方がいます。
「オンラインヨガ」であれば、そういった際にも安心してヨガのレッスンを受けることができます。
コロナ禍で外での運動ができず運動不足が続いていた方でも、家の中に居ながらヨガで運動できるという魅力があるのです。
おわりに
本記事では、ヨガインストラクターになるための資格や仕事内容についてご紹介しました。
ヨガインストラクターの需要は、今後も高い状態が続いていくと予想されます。
その中でも資格を持ち、分かりやすく効果のある指導ができるヨガインストラクターが求められているのです。
ヨガスキルと知名度をつけることによって、より一層活躍の場面を増やしていくことができるのではないでしょうか?